『黄金街道』安野光雅 (講談社文庫94/5)を読む

 冒頭に古今亭志ん生の<黄金餅>を置いたあたりは、既にこの1冊の趣旨を尽くしている。上野駅界隈から湯島・神田・日本橋・銀座・新橋・増上寺・麻布十番から絶江坂に至る36カ所を、スケッチとミニエッセーで綴る。謂わば今風の江戸市井遊覧記。スケッチもこの20世紀末の情景が、既に懐古的になっている現在から見ると貴重なもの。170ページほどの文庫本ながら愉しい時空が詰まっている。

 

講談社より

画帖片手の楽しい東京スケッチ散歩。
上野から麻布までの珍道中。不思議な道順の種明かしは読んでからのお楽しみ。

喧噪の上野駅から銀座を抜けて麻布まで──。今はない街並をなつかしみながら、路地に秘められた人々の歴史をひもときながら画帖を片手に歩くたのしみを、 スケッチとエスプリに富んだエッセイで構成する安野光雅の東京画36景。ただごとではないルートの謎ときは、さいごのページを読むまでのおたのしみ!!