2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『漢字と日本語』高島俊男 (講談社現代新書/16/4/)

漢字と日本語について、日中縦横に語る。いつもながら面白いのは、明治初期の西洋諸国の翻訳語。苦心の後が見える。これはそのまま、文字から見る日本と西欧諸国や中国との歴史とも言えるだろう。 ▶講談社BOOK倶楽部 「外来語」はいつからあるのか? 「復原…

『ぼくの花森安治』二井康雄 (CCCメディアハウス/2016/8)を読む

<暮らしの手帖>には若い頃から何かと関心があった。何冊かの保存版は今でも本棚の何処かに眠っている筈だ。 それは日常的な生活に、庶民がどう暮らしを快適にできるだろうかという、この雑誌が追求した中心的課題よりも、垣間見える編集長の花森安治が、持つ…

「薔薇色のゴリラ」塚本邦雄 (人文書院/77/9)を読む

<名作シャンソン百花譜>として、シャンソンに寄せた日々を語る。 戦中は例えば<暗い日曜日>などを聴いていれば、<海行かば><愛国行進曲>を聴け、といった恐るべき暗黒時代。そういう中からレコードを一枚一枚買いためて聞き入った頃。安っぽい恋歌でさえ、そ…

「明平さんのいる風景」玉井五一ほか編 (風媒社/99/6)

サブタイトルは<杉浦明平生前追想集> 杉浦明平という作家のルポは、若い頃いくつか読んだ。農漁村のじめじめした空気がなく、爽快な印象が残っている。 今度追想を集めたこの本を読んで、やはりその印象に変わりなかった。 戦後の時期に、<挫折>しなかった、…

<辞書と日本語>倉島節尚(光文社新書/02/12)を読む

辞書は何をポイントにして編集されていくのか?そのために、どういう準備が必要で、作成途中の苦心は何か。 これに類したものはかなり読んできたつもりだが、それぞれ編著者の肌合いの違いも面白く、どれを読んでも興味津々。 これには、特に近未来の辞書の体…

<恋の名前>高橋順子文/佐藤秀明写真(小学館/16/2/)を読む

古代王朝以来わが国は<恋>の文化を多彩に煌めかしてきた。その軌跡を辿り様々なジャンルを博捜しまとめた詞華集。和歌・俳句から幾つかの詞華集、民謡、川柳などを含む絢爛たる<ことば>の祭典。 ▶出版社より 恋振、相惚、後朝、時雨心地、恋の瀬踏、老いらく…

<歌の彩事記>馬場あき子(読売新聞社96/11)を読む

俵万智、塚本邦雄、上田三四二等々現代歌人の短歌を取り上げ、秋の歌、冬の歌、春の歌、夏の歌に分け、歌人の目に映る世の中の不条理や人生の真理に及びつつ、世相と自然を語る楽しいエッセー集。 とりあげてある歌のひとつふたつを並べてみる。 何も写さぬ…